東院堂【国宝】鎌倉時代

東院堂は、養老年間(717~724)に長屋王の正妃である吉備内親王が母の元明天皇の冥福を祈り建立しました。 現在の建物は弘安8年(1285)に正面7間、側面4間の入母屋造本瓦葺で、南向きで再建されましたが、享保18年(1733)に西向きに変えられました。鎌倉時代後期の和様仏堂の好例です。

東院堂の仏像 聖観世音菩薩像【国宝】白鳳時代

世の悲しみや苦しみの声を聞いてくださるのが観世音菩薩です。観世音菩薩には、千手観世音菩薩や十一面観世音菩薩などがおられますが、変身しない本当のお姿という意味で、しょう観世音菩薩と呼ばれます。 薬師寺の聖観世音菩薩はとても美しいお姿として知られています。薄い衣のひだから足が透けて見える彫刻法は、インドのグプタ王朝の影響を受けたものといわれます。右手を静かに下げ、柔らかく挙げられた左手、胸を張り足を揃えて凜と立つ姿は白鳳の貴公子といえましょう。

東院堂の仏像 四天王立像【重要文化財】鎌倉時代

四天王は古代インドの神が仏教に守護神として取り入れられたものです。東・持国天、南・増長天、西・広目天、北・多聞天が配されます。

東院堂に安置される四天王は多聞天の台座に記された銘文より、正応2年(1289)に像が作られ、永仁4年(1296)に彩色が完成したことがわかります。躍動感のある造形が素晴らしく、また彩色の保存状態が良好です。