令和5年 修二会花会式 行事・法話のご案内

新型コロナウイルス感染症拡大防止の為、稚児行列・聞香席・拝服席・野点席・参籠(仮眠所)を中止致します。
初夜・半夜、後夜・晨朝の行法の金堂入堂に際し、検温、マスク着用、等のご協力をお願い致します。
状況によっては、席数を50席とし、入堂制限させていただくことがあります。
また、結願法要のご参拝は金堂堂外正面よりお願い致します。(入堂できません)
ご理解・ご協力をお願い申し上げます。

時間 種目 場所 法話
3月23日(木) 午後1時 お身拭い 修二会花会式練行衆 金堂 他
3月25日(土) 午後1時 柴燈大護摩
(火渉り式)
薬師寺修験咒師本部
不動堂前 講師
執事長 大谷徹奘

3月26日~31日 午前10時半~正午
演題:「花会式って何」

法話会場:まほろば会館
3月31日(金) 午後6時半 結願法要 神供 大講堂前
午後7時薬師悔過行法(入堂不可) 金堂
午後8時半頃鬼追い式 金堂前

柴燈大護摩のご案内(於 不動堂前)
3月25日(土)午後1時より、薬師寺修験咒師本部による柴燈大護摩並びに火渉り式(火渉三昧)を執り行います。
屋外での行事ではございますが、感染症拡大防止の為、マスク着用の上ご参列ください。
尚、添護摩によるご祈願を承っております。



花会式お写経会のご案内(於 お写経道場)
同期間中、午前8時半より午後7時まで、花会式特別お写経会を執り行います。花会式ご参拝に合わせ、是非お写経のご浄業にお励みいただくことをお勧め申し上げます。期間中にご納経いただいたお写経は、晨朝の行法にて練行衆によって特別祈願させていただきます。
特別お写経会は、出来る限りの感染症拡大防止策を講じ、実施させていただきます。尚、コロナ禍中につき昼食のご用意が叶いません。ご理解をお願い申し上げます。



特別公開

  • 平山郁夫画伯奉納「大唐西域壁画」  於 玄奘三蔵院伽藍
  • 田渕俊夫画伯奉納「阿弥陀三尊浄土図」「仏教伝来の道と薬師寺」  於 食堂
  • 西塔初層東面特別開扉 中村晋也氏奉納「釈迦四相像」  於 西塔
  • 国宝 東塔水煙及び奉納作品・奉納散華展  於 西僧坊

修二会 花会式しゅにえはなえしき

修二会とは奈良の大寺が国家の繁栄と五穀豊穣、万民豊楽などを祈る春の行事です。修二会とある通り、この法要は2月に行われるのですが、薬師寺の場合は旧暦の2月末に行われていた事から、そのまま新暦に直して3月25日から3月31日にかけて行われています。 東大寺の修二会に「お水取り」という俗称がついたように薬師寺修二会には十種の造花がご本尊に供えられるところから「花会式」と呼ばれ、「奈良に春を告げる行事」として親しまれています。 花会式(修二会)に参篭する僧のことを「練行衆れんぎょうしゅう」と言い、一・七日いちしちにち(一週間)の法要を勤めます。最終日の3月31日の夜には「鬼追い式おにおいしき」が法要の結願けちがんを飾ります。

花会式の歴史

修二会花会式の中心は、薬師悔過けか法要です。この法要は奈良時代から続けられています。造花の起源は、嘉承2年(1107)に、堀河天皇が皇后の病気平癒を薬師如来に祈られ、その霊験を得て病気が回復しました。 翌年、皇后は感謝の心を10種類の造花(梅・桃・桜・椿・山吹・牡丹・藤・杜若・百合・菊)にこめて女官に造らせ、薬師如来の御宝前に供えられました。以来毎年造花を供えて修二会をするようになりました。これが『花会式』と呼ばれる華やかな法要の始まりです。

花会式の法要

花会式では1日で初夜しょや半夜はんや後夜ごや晨朝じんじょう日中にっちゅう日没にちもつの合計6回の法要があり、六時の行法と呼ばれます。十人の練行衆と呼ばれる僧は不休で法要を勤めます。
初夜と半夜、後夜と晨朝、日中と日没のように、1度の入堂で2回の法要を勤めます。
中でも圧巻なのは午後7時からの初夜・半夜の行法です。

令和5年修二会花会式 薬師悔過法要 練行衆

  • 大導師   加藤朝胤かとうちょういん
  • 咒 師   髙次喜勝たかつぎきしょう
  • 堂 司   生駒基達いこまきたつ
  • 大 衆   松久保伽秀まつくぼかしゅう  小林澤應こばやしたくおう  村上定運むらかみじょううん  中村随輝なかむらずいき  山田瑛照やまだえいしょう  松久保了善まつくぼりょうぜん  松久保真吾まつくぼしんご
  •       吉岩観賢よしいわかんげん

大導師だいどうし・・修二会花会式の行法の最高位。表白ひょうびゃく神分じんぶん咒願文しゅがんもん諷誦文ふじゅもん勧請かんじょうなどの大導師作法を修します。
咒 師しゅし・・大導師によるご祈願が悉く成就されるように、堂内を結界して四天王等を勧請、秘密加持の修法を行います。
又、結願法要に先立つ神供じんぐ作法や護摩の修法、鬼追い式の会場えじょうを浄める作法を修します。
堂 司どうつかさ・・修二会花会式の行中の一切を司る総責任者。堂内の荘厳しょうごん、行法の指揮進行など全てのことを執り仕切ります。
大 衆たいしゅう・・大衆の中から、声明のとうを執る「散華師さんげし」や、六時の行法の「時導師じどうし」を交代で勤めます。

六時の行法

  • 後夜から晨朝、日中から日没、初夜から半夜への法要は連続して勤めます。
  • 第7日の初夜の行法(結願法要)のご参拝は金堂堂外正面よりお願い致します。入堂できません(※)
午前3時より 午前4時半頃 午後1時より 午後2時半頃 午後7時より 午後8時半頃
後夜 晨朝 日中 日没 初夜 半夜
第1日 3月25日 × × × ×
第2日 3月26日
第3日 3月27日
第4日 3月28日
第5日 3月29日
第6日 3月30日
第7日 3月31日 ○※ ×

薬師悔過

悔過とは、人間が自覚・無自覚の内に作ってしまった様々な罪を反省し、より良い生き方に改めるということです。
薬師如来に対して悔過の行法を行うため、「薬師悔過」と呼ばれます。
薬師悔過のお経は朗々とした節回しであるかと思えば、ある部分では非常に大きな声を張り上げ、絶叫とも言って良いほどの声で読経することもあり、非常に変化に富んだお経です。
練行衆の中から、その法要ごとに導師が選ばれ、薬師悔過を先導します。 時導師は一節ごとに立って薬師如来に礼拝しながらお経を唱えます。

映像で見る修二会花会式 結願法要 前編

大導師作法と咒師しゅし作法

薬師悔過が終わると時導師に代わり、大導師が薬師如来の前に進みます。「大導師作法」の始まりです。大導師作法では落ち着いた節回しで諸仏を賛嘆し、修二会のもう一つの主旨である、国家繁栄・五穀豊穣の祈りが捧げられます。
初夜・半夜の大導師作法の中では並行して「咒師作法」が行われます。咒師は、密教の作法を司る役で、大導師による祈りが外敵に妨げられないよう、結界を作り堂内を護る作法を行います。
灯りが落とされ堂内が一段と暗くなると、法螺貝・太鼓・鐘が鳴り響きます。真剣を両手に持った咒師が現れ、堂内を疾走します。刀で天地の悪を切り裂く作法です。
このような法要を7日間続けるのです。

映像で見る修二会花会式 結願法要 後編

結願けちがん鬼追おにおい式

修二会花会式の最終日、結願には様々な儀式が行われます。
初夜の法要の前に咒師が神々を勧請し、練行衆が松明を放り投げて神々に捧げる「神供じんぐ」が行われます。
結願の法要ではいつにも増した大音声での悔過が唱えられ、大導師からは最後の祈りが捧げられます。咒師は護摩を焚き、その祈りを諸仏に届けます。
そして、金堂の前で「鬼追い式」が始まります。 松明を持ち激しく暴れまわる鬼を薬師如来のお力を受けた毘沙門天が鬼を鎮めるという儀式です。鬼は煩悩を象徴するもののひとつであり、薬師悔過の罪を反省し、良い生き方に改めるという主旨を視覚的に表したものとも言えます。

映像で見る鬼追い式

造花作りと飾り付け

花会式には約1600本の和紙で作られた造花が供えられます。

現在、造花は奈良市内の2軒の家で代々作り続けらています。一つひとつ手作りで、紙は薬草などを用いて染め上げられます。

23日にお身拭いが終わると、堂内の荘厳が始まります。
造花は10種を12鉢に、一本ずつ定められた形に飾り付けていきます。
造花を飾り付けるのは、全国から高校生~大学院生を対象に募集する「青年衆」です。